赤くコア化した世界 L結界密度の意味 浄化無効阻止装置とは

 今回は、エヴァンゲリオン新劇場版における、赤くコア化(浄化)した世界、コア化浸食、L結界密度の意味について考察します。

コア化L結界

コア化とは

 セカンドインパクト後の世界(序~破)では、海が赤くなっており、サードインパクト後の世界(Q~シンエヴァ)では、第3村など一部を除き、大地の全て(人工物を含む。)が赤くなっていました。

 Qの、渚カヲルが碇シンジに対しサードインパクトの惨状を見せたシーンにおける画コンテ804では、「洗濯物やふとんもコア化している」と書かれていました。

 また、Qラストの式波アスカ、シンジ、黒レイ(黒波)が赤い大地を歩いていくシーンにおける画コンテ1032では、「コア化した荒野に続く3人の足跡」と書かれていました。

 つまり、全てものが赤くなる現象のことを「コア化」ということが分かります。

人類補完計画遂行過程での浄化作用

 エヴァ世界において、コアとは、魂や心を意味しています。

 コア化したエリアは、そこにある物を赤くするだけでなく、生命が個体を保てなくなる場所になってしまいます。生命の肉体は、LCL化(ATフィールドを失い液状化)し、魂だけの存在になってしまいます。

 ATフィールドとコアの考察はこちら

 このことは「浄化」とも呼ばれており、人類補完計画の遂行過程で起こされる各インパクトによって、地球上における、海、大地、魂の「浄化」がなされました。

 人類補完計画の考察はこちら

 赤木リツコ「これが人類、いえ、この星の古の生命のコモディティ化」

 葛城ミサト「全ての魂をコアに変えエヴァインフィニティと同化させる。フォースインパクトの始まりか」

 ゲンドウ「そうだ。セカンドインパクトによる海の浄化。サードによる大地の浄化。そしてフォースによる魂の浄化。エヴァインフィニティを形作るコアとは魂の物質化。人類という種の器を捨てその集合知をけがれなき楽園へといざなう最後の儀式だ」

シン・エヴァンゲリオン劇場版:フォース(アナザー)インパクト

 エヴァインフィニティの考察はこちら

 セカンドインパクトの考察はこちら

 サードインパクトの考察はこちら

 フォース(アナザー)インパクトの考察はこちら

儀式によらない小規模なコア化浸食

 上記のとおり、コア化(浄化)は、インパクト(儀式)によって地球規模で生じますが、インパクトによらずに小規模なコア化が生じる場合もあります。

 これは「コア化浸食」と呼ばれ、使徒のコアや、擬似シン化したエヴァに触れると接触面がコア化します。

 破の、宇宙から落下してきた第8使徒戦において、零号機が使徒のコアに触ると両手に浸食が起きました(画コンテ558)。

 また、Qの、AAAヴンダーを起動させるために改2号機が主機(初号機)を点火した際には、主機に触れた左腕にコア化が生じ、2号機は左腕を失いました(画コンテ452)。

 また、Qの、(ニア)フォースインパクトを止めるために擬似シン化した第13号機を真希波マリの8号機が捕まえたシーンにおいて、第13号機を掴んだ8号機とマリの手が赤く発光し、コア化浸食が生じました(画コンテ1459には「接触面からコア化浸食が発生する」と明記)。その後、AAAヴンダーで運ばれた8号機は、その両腕が無くなっていました。

 なお、以上のような「コア化浸食」は、序の冒頭で描写された白線の巨人跡の周囲にも見られましたが、この点は別途考察しています。

 巨人型の白線の考察はこちら

L結界・L結界密度とは

 コア化したエリアは、「L結界」とも呼ばれています。

 場所によって結界の密度(濃度)に違いがあり、「L結界密度」が高いエリアでは、生物にとってより肉体が喪失(LCL化)しやすい危険な場所ということになっています。

 Qラストのコア化した大地において、アスカは、「ここじゃL結界密度が強すぎて助けに来れないわ。リリンが近づけるところまで移動するわよ」と言っていました。

 また、シンエヴァの、NHG2番艦エアーレーズング内において、冬月コウゾウは、マリと次の会話をした後にLCL化してしまいました。

 マリ「お久しぶりです冬月先生。しっかしこの船の中L結界密度が高すぎません?」

 冬月「ああ。元来有人使用ではないからな。無理は承知だ」

シン・エヴァンゲリオン劇場版

 なお、劇中では、コア化した赤い海上においては艦船が多数活動できていましたので、大地よりも海の方が「L結界密度」が低いのかもしれません。

Lの意味はリリン(Lilin)

 名前が似ていて紛らわしいのですが、「L結界」は、Qでネルフ本部のセントラルドグマのメインシャフトを塞いでいた「リリス(Lilith)の結界」とは別物のようです。

 リリスの結界の考察はこちら

 「L結界」については、シンエヴァのヤマト作戦における旧南極セカンドインパクト爆心地突入シーンで説明されています。

 長良スミレ「L結界境界面を航行中」

 北上ミドリ「ここが原罪でけがれた生命を拒むというL結界の上」

 高雄コウジ「人類がその浄化されたエリアを祝福も受けずに進んでいる。加持のデータとアンチLシステムのおかげだ」

シン・エヴァンゲリオン劇場版

 「原罪」とは、旧約聖書において、アダムとイヴが神に背き、善悪を知る知識の木の実を食べたことであるとするのが一般的です。

 したがって、上記の「原罪でけがれた生命」とは、知恵の実を食した人類(リリン)を指していると思われます。

 そうすると、「L結界」とは、「リリン(Lilin)を拒む結界」を意味すると考えます。

リリン以外の生命も巻き添えを食らう

 上記のとおり、「L結界」は、知恵の実を食し、原罪でけがれた人類(リリン)を拒むものですが、人類だけでなく、地球上のあらゆる生命体が個体を保てなくなってしまうようです。

 その結果、赤くコア化した海や大地には、一切の生物が存在しません。

 赤い海に生命が存在しないことについては、破のセカンドインパクト前の青い海を復元し生態系を保存する研究施設「国際環境機関法人 日本海洋生態系保存研究機構」における、シンジと加持リョウジの会話で説明されました。

 シンジ「僕が生まれる前はこの海が青かったなんて、想像できません」

 加持「こうしてヒトが生きていける環境だけでも、よくも復元出来たものさ」

 シンジ「でもこの潮風って、なんだか生臭い変な臭いがしますね」

 加持「海の生物が腐った匂いだ。生きていた証なのさ。あの何もない赤い水とは違う。本当の海の姿なんだよ。本来、この世界は広くて色んな生命に満ち満ちている。そのことを、君らに知っておいて欲しかったんだ」

エヴァンゲリオン新劇場版:破

ヴンダーは人類以外の生命を残す方舟 

 人類補完計画の遂行過程(各インパクトの発生)において、地球全体がコア化、L結界化すると、リリン以外の他の動植物までもがその巻き添えを食らい、個体を維持できなくなって消えてしまいます。

 そこで、人類補完計画の巻き添えを受けて消えてしまう生命を自然のままに世界に残すことを目的とした方舟として、AAAヴンダーが建造されました。

 ヴンダーの本来の目的は、「ノアの方舟」のようなものだったわけです。

 リツコ「このブロックが本艦本来の運用目的だったわね。あらゆる生命の種の保存。その守護のための、半永久稼働可能な無人式全自動型の方舟が、AAAヴンダー本来の姿

 ミサト「加持にとって、人類という種の存続は大した問題ではなかった。補完計画の巻き添えで消えてしまう多様な生命体を、自然のままこの世界に残すことが最重要だったのよ」

シン・エヴァンゲリオン劇場版:ヤマト作戦前のヴンダー内での会話

 AAAヴンダーの考察はこちら

半使徒化した者は赤い大地を歩ける

 ところで、Qラストやシンエヴァにおいて、シンジ、アスカ、黒レイ(黒波)は、コア化、L結界化した赤い大地を生身のままで歩くことができていました。

 また、シンエヴァのエアーレーズング内において、L結界密度が濃すぎるために冬月がLCL化したのに対し、マリは平気でした。

 4人は、覚醒や浸食によって半使徒化し、純粋なリリンではなくなったために、L結界上でも個体を維持したまま活動できたのだと考えます。

 上記の高雄の言葉によれば、4人は「神の祝福を受けた」という扱いになるのだと思われます。

 シンジの使徒化の考察はこちら

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 マリの考察はこちら

相補性L結界浄化無効阻止装置とは

 コア化、L結界化から人類(リリン)が身を守るシステムとして、相補性L結界浄化無効阻止装置というものがあります。

 相田ケンスケ「あれがヴィレの置き土産だ。相補性L結界浄化無効阻止装置って代物だよ。あれのおかげで第3村がコア化されずに済んでる。ミサトさん達のおかげさ」

シン・エヴァンゲリオン劇場版

 名称がややこしいのですが、その効果からすると、「L結界による浄化を無効化又は阻止する装置」という意味だと思われます。

アンチLシステム 

 相補性L結界浄化無効阻止装置のこと、あるいはそれとほぼ同じもののことを、アンチLシステムと呼ぶこともあります。

 「反(アンチ)L結界システム」という意味だと思われます。

 高雄コウジ「人類がその浄化されたエリアを祝福も受けずに進んでいる。加持のデータとアンチLシステムのおかげだ」

 マリ「さてワンコ君。君がやることは、アンチLシステムが全て止まってみんながコア化してしまう前に、第13号機を破壊し起死回生を図るしかない」

シン・エヴァンゲリオン劇場版

ゼーレの封印柱の技術を応用

 相補性L結界浄化無効阻止装置・アンチLシステムは、ゼーレの封印柱の技術(使徒封印用呪詛文様等)をもとに、加持(ヴィレ)が日本海洋生態系保存研究機構などで研究していたものと考察しています。

 加持の考察はこちら

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