リリスの結界とは 第13号機で突破できた理由

 今回は、エヴァンゲリオン新劇場版における、リリスの結界の正体、目的と、エヴァ第13号機によって突破できた理由ついて考察します。

リリスの結界

リリスの結界の概要

 リリスの結界(Lilith’s seal)は、Qの、渚カヲルと碇シンジが第13号機でリリスのいるセントラルドグマ最深部へ降下して行ったシーンにおいて描写されました。

 カヲル「もうすぐリリスの結界だ。メインシャフトを完全に塞いでいてこの14年間誰の侵入も許していない

 シンジ「まるで大きなフタみたいだ」

エヴァンゲリオン新劇場版:Q

 セントラルドグマに続くメインシャフトに蓋をするよう広がっており、14年もの間、何人も破ることができませんでした。

 リリスの結界の先(セントラルドグマ最深部)は、サードインパクトの爆心地になっていたことから、ここでいう「14年間」とは、「サードインパクトから14年間」という意味になります。

 サードインパクトの考察はこちら

 また、同シーンの画コンテ1054によると、「結界表面には突破を試み、失敗した作業の跡が残っている」とされており、「仮宿舎」や「掘削やぐら」も記載されていました。

 つまり、14年の間、ネルフにおいて、リリスの結界を破るために掘削作業を行ってきたものの、結局破ることができなかったことが分かります。

 なお、「リリスの結界」という以上、結界を張ったのは、当然ながらリリスであると思われます。

エヴァ第13号機でリリスの結界を破った

 リリスの結界は、カヲルとシンジが搭乗するエヴァ第13号機によって破られました。

 第13号機には、リリスの結界を破るための機能が搭載されていました。このことは、同シーンにおける、次のカヲルのセリフから分かります。

 カヲル「大丈夫さ。これを突破するための13号機だからね。2人なら出来るよ」

エヴァンゲリオン新劇場版:Q

 なお、画コンテ1054では、もともと「これを突破するためのダブルエントリーシステムだからね」というセリフになっていました。

 上記セリフの後、エントリープラグ内のハードディスクが入れ替わり、第13号機の4つの目が光りました。

 ここでカヲルは、「テンポを合わせよう。ピアノの連弾を思い出して。行くよシンジ君」と言いました。

 つまり、リリスの結界を破る第13号機の機能を使うには、パイロットのカヲルとシンジが息を合わせることが必要でした。

 カヲルとシンジがタイミングを合わせると、エントリープラグ内のモニターには、「Approaching:Final Containment Seal Bottommost Level Of Central Dogma」(接近:セントラルドグマ最深部最終封印)「 EVA-13 Alfa/A」と表示され、リリスの結界を破ることに成功しました。

結界の正体、第13号機が突破できた理由

 では、リリスの結界とは、何だったのでしょうか。

 また、第13号機は、なぜ14年もの間誰の侵入も許さなかったリリスの結界を突破することができたのでしょうか。

 ヒントになるのは、テレビアニメ版第24話です。

 新劇場版は、新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版)のリビルド(再構築)ですので、個々のシーンについても新世紀版と類似した流れになっていることが多々あります。

結界:強力なATフィールド

 新世紀版において、最後の使徒であるカヲルは、エヴァ弐号機を引き連れ、ターミナルドグマへ降下していきました。

 シンジの初号機が追い付いたところで、カヲルは、「結界」と呼ばれる強力なATフィールドを発生させ、自分とシンジを、外部と完全に遮断しました。

 同シーンのセリフは次のとおりです。

 カヲル「何人にも侵されざる聖なる領域。心の光。リリンも分かっているんだろ?ATフィールドは誰もが持っている心の壁だということを」

 途中省略

 日向マコト「これまでにない強力なATフィールドです!」

 青葉シゲル「光波、電磁波、粒子も遮断しています。何もモニターできません」

 葛城ミサト「まさに結界か」

テレビアニメ版 第24話

 ここから、新劇場版における「リリスの結界」も、新世紀版のカヲルが発生させた「結界」と同じように、強力なATフィールドによって構築されたものであると思われます。

 ATフィールドの考察はこちら

結界の突破:同等以上のエネルギー

 上記の新世紀版のシーンでは、その後、綾波レイが現れ、カヲルと同等のATフィールドを発生させ、結界内部に侵入しました。

 青葉シゲル「ターミナルドグマの結界周辺に先と同等のATフィールドが発生」

 伊吹マヤ「結界の中へ侵入していきます」

テレビアニメ版 第24話

 新世紀版のレイの考察はこちら

 新劇場版において「リリスの結界」を破った第13号機は、新世紀版でカヲルの「結界」を破ったレイと同様、カヲルとシンジが協力することにより、リリスの放った強力なATフィールドと同等以上のエネルギーを発生させ、これを破ったのだと考えられます。

 同シーンの画コンテ1064においても、結界面に第13号機の足が触れそうになるところで、「ATフィールド的なエフェクト発生」と記載されています。

 ただし、新世紀版のレイが「同等のATフィールド」で「結界」を破ったのに対し、新劇場版の第13号機は、「同等の浸食エネルギー」(私が勝手にそう呼ぶだけです。)で「リリスの結界」を破ったと思われます。第13号機には、ATフィールドが存在しないからです。

 第13号機の考察はこちら

リリスの結界が張られた意味、目的

 最後に、新劇場版におけるリリスは、なぜ結界を張ったのか、その意味と目的について考察します。

 この点についても、テレビアニメ版第24話がヒントになります。

 同話では、カヲルと弐号機がターミナルドグマへ降下していき、シンジの初号機がそれを追った際、次のやりとりがありました。

 アナウンス「エヴァ両機最下層に到達」「目標ターミナルドグマまであと20」

 ミサト「初号機の信号が消えてもう一度変化があったときは…」

 日向「分かってます。そのときはここを自爆させるんですね。サードインパクトを起こされるよりはマシですから

 ミサト「すまないわね」

 日向「いいですよ。あなたと一緒なら」

テレビアニメ版 第24話

 このやりとりの直後、カヲルは、上記で述べた強力なATフィールド(結界)を発生させました。

 そして、自ら死を望み、シンジの初号機によって握りつぶされました。

 つまり、カヲルが結界を張ったのは、ネルフ本部の自爆による爆発から逃れ、シンジと2人きりになろうとしたのだと考えられます(結果的にネルフ本部は自爆しませんでしたが)。

 これと同じようなことが新劇場版でも起きたと思われます。

 序の、ダイヤモンドのような第6使徒戦で、ミサトは、シンジに対し、セントラルドグマにおいて、「私達がネルフ本部レベルEEE(トリプルイー)への使徒侵入を許すと、ここは自動的に自爆するようになっているの。たとえ使徒と刺し違えてでも、サードインパクトを未然に防ぐ。その覚悟を持ってここにいる全員が働いているわ」と言っていました。

 つまり、新劇場版においても、ネルフ本部には、サードインパクトを防ぐ手段として、自爆機能が備わっていました。

 新劇場版のリリスが「リリスの結界」を張った目的は、新世紀版でカヲルが「結界」を張ったときと同様、サードインパクトを防ぐためのネルフ本部の自爆機能から逃れるためであったと考えられます。

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