新劇場版 アダムはどこにいる?いない?

 今回は、エヴァンゲリオン新劇場版において、「アダムス」とは別に「アダム」がいるか否かについて考察します。

アダム

結論:アダムはいない

 新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版)におけるアダムは、第1使徒とされ、生命の実を持った存在であり、使徒(リリスとリリンを除く。)を生みだし、知恵の実を持つ第2使徒リリスとその子らであるリリンを滅ぼそうとする存在でした。

 つまり、新世紀版においては、最初の人間アダム(生命の実)と、2番目の人間リリス(知恵の実)との対立構造になっていたのです。

 しかし、新劇場版において、この設定は大きく変更されているようです。

 結論から言うと、新劇場版にアダムはどこにもいないと考えます。

「アダムス」のややこしさと設定変更

 新劇場版では、「アダム」の代わりに「アダムス」という存在が登場しました。

 この「アダムス」というネーミングが非常にややこしく、多くの人を悩ませたと思います。

 リリスの子らを「リリン」というように、「アダムス」はアダムの子らを意味するのではないかという理解が多くなされたのではないでしょうか。私もそのように考えていました。

 しかし、シンエヴァのゴルゴダオブジェクトで、碇ゲンドウは、息子のシンジに対し、次のように言っています。

 ゲンドウ「ゴルゴダオブジェクトだ。人ではない何者かがアダムスと6本の槍とともに神の世界をここに残した。私の妻、お前の母もここにいた。」

シン・エヴァンゲリオン劇場版

 もし、アダムが存在するとしたならば、神の世界であるゴルゴダオブジェクトにはアダムがいたはずですが、アダムについては言及すらされませんでした。

 ゴルゴダオブジェクトの考察はこちら

 また、ゲンドウは、アダムスと同列的に「私の妻、お前の母も」と言っていますが、前提として、私は、ユイはリリスと同質の存在と考えていますので、当該発言は、リリスと同列の立場としてアダムスがいたことを示唆したのだと思います。

 ユイ=神=リリスの考察はこちら

 つまり、新劇場版では、アダムとリリスの対立構造から、アダムスとリリスが同列的存在であるように変化したと考えます。

 この点について、私は、アダムスとリリスのモチーフになったのは熾天使(してんし・セラフィム)であり、リリスは熾天使の中でも12枚の翼を持つ特別な存在である堕天使ルシファー(ルシフェル)がモチーフになっていると考えています。

 アダムスとリリスが熾天使をモチーフにしていることの考察はこちら

使徒の設定も変化

 使徒の設定も変わっています。

 アダムより生まれし使徒が、対立するリリスやリリンを滅ぼしに来るという構図ではなくなっているのです。

 Qの(ニア)フォースインパクトや、シンエヴァのフォース(アナザー)インパクトでは、「アダムスの生き残り」である第13号機が使徒を贄(にえ)にしました。

 フォースインパクトの考察はこちら

 使徒がアダムスより生まれし者なのだとすれば、アダムスの贄にされるはずはありません。

 新劇場版では、アダムスもリリスも共に知恵の実を所持しており、使徒は、知恵の実を持つ存在を滅ぼすか、それらの贄とされる存在に変わっています。

 アダムスも知恵の実を持つことの考察はこちら

 使徒の設定変更の考察はこちら

月面の白い巨人はアダムではない

 月面タブハベースにいた謎の白い巨人がアダムだったのではないかと考察されることがあります。

 しかし、違うと思います。

新世紀版のリリスと同じ姿ではない

 月面の巨人は、全身が白く、ゼーレの仮面を付けており、新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版)のリリスを彷彿させる姿であったため、話がややこしくなりました。

 新世紀版のリリスと同じ姿をしているということは、その対の存在であるアダムなのではないか、もしくは、ネルフ本部セントラルドグマにいるのが実はアダムで、月面にいるのがリリスなのではないかと考察されていました。

 しかし、設定資料によると、月面の巨人は白い素肌をしているのではなく、白いゴムカバーで覆われているようなのです。

 確かに、よく見ると、体の中心線に縫い目が見えました。

 つまり、月面タブハベースにいた白い巨人は、リリスと同じ姿(白い素肌)をしているわけではなかったのです。

マーク6はでかいわけではない

 Qのセントラルドグマにおいて、月面の巨人から建造されたマーク6の、リリスの骸と融合した姿が、通常のエヴァよりもかなりサイズが大きく見えたことも、アダム説を後押ししました。

 しかし、あれはリリスとの融合によって膨張していただけだと思われます。

 槍を抜かれ、リリスの骸と分離した後、マーク9に首を切られたシーンでは、マーク9と同じくらいのサイズ感になっていました。

 また、仮にでかいとしてもサイズが中途半端です。リリスと対になるアダムであったとするならば、リリス並みに巨大であるはずですが、リリスと比べるとかなり小さかったといえます。

 私は、月面の白い巨人は、アダムでなく、アダムスの1体であると考察しています。

 月面の巨人がアダムスの1体であることの考察はこちら

第1使徒は渚カヲルになった

 新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版)同様、新劇場版においてもリリスは第2使徒でしたので、仮にアダムが存在するとすれば、アダムが第1使徒になるはずです。

 しかし、Qの(ニア)フォースインパクトの際、カヲルは、「まさか第1使徒の僕が13番目の使徒に堕とされるとは」と言っており、カヲルが第1使徒であることが明言されました。

 このことも、新劇場版にアダムがいないことを意味します。

アダム再生計画もなくなった

 新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版)では、アダムを復元して胎児化させたものをゲンドウが身体に取り込むシーンがありましたが、新劇場版ではなくなっています。

 加持リョウジがゲンドウに渡したアイテムは、胎児化させたアダムでなく、ネブカドネザルの鍵に変更されています。

 ネブカドネザルの鍵の考察はこちら

 この点も、新劇場版にアダムがいなくなったための変更だと思われます。

まとめ

 以上のとおり、新劇場版にアダムはいないと考えます。

 アダムスというややこしいネーミングのために、私を含め多くの人が悩まされたと思います。

 アダムスは「ADAM’S」、つまりアダムの所有格を示すとの考察まで見られました。

 こういった謎の深さがエヴァの醍醐味なのだと思います。

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