初号機の素体・正体はアダムス系かリリス系か

 今回は、エヴァンゲリオン新劇場版において、エヴァ初号機がアダムス、リリス、いずれに由来するものだったのかについて考察します。

エヴァ初号機

旧劇場版:唯一のリリスの分身

 旧劇場版(Air冒頭)では、ゼーレのモノリス01(キール)が次のように言っており、初号機がリリスのコピー(クローン)であることが明らかになっていました。

 「約束の時がきた。ロンギヌスの槍を失った今リリスによる補完はできぬ。唯一、リリスの分身たるエヴァ初号機による遂行を願うぞ」

旧劇場版Air

新劇場版

 一方、新劇場版では、初号機の由来について明言されていません。

 この点に関し、有力なのは次の3説ですが、私は、リリスのコピー(クローン)説が正しいと考えています。

  •  アダムスのオリジナルの1体説
  •  アダムスのコピー説
  •  リリスのコピー説(旧劇場版と同じ)

 なお、私は、新劇場版に「アダム」はいないと考察していますので、初号機がアダム由来かどうかは考察対象としていません。

 新劇場版にアダムはいないことの考察はこちら

アダムスのオリジナルの1体説

 初号機がアダムスのオリジナルの1体であるとする説です。

 根拠は、初号機が、本来はアダムスの器がなるべきAAAヴンダーの主機になれたこと、アダムスの生き残りである第13号機と見た目がそっくりだったことなどです。

 しかし、初号機がアダムスのオリジナルの1体だとすると、どうしてもATフィールドを展開できることについて説明ができません。

 アダムスのオリジナルを素体にしたエヴァには、ATフィールドが存在しません。

 全エヴァの素体の考察はこちら

 アダムスの器であるマーク9には攻撃を受けてもATフィールドが展開するシーンはありませんでした。Qの、セントラルドグマにおける戦闘時の画コンテ(1133)でも、マーク9にはATフィールドがないと明記されています。

 アダムスの器の考察はこちら

 また、アダムスの生き残りである第13号機にATフィールドがないことは、劇中で何度も描かれています。

 つまり、初号機がアダムスのオリジナルの1体なのだとすると、初号機もATフィールドを展開できないはずですが、劇中で初号機は何度もATフィールドを展開していましたので、アダムスのオリジナルの1体ではないと考えざるを得ません。

 人工的にATフィールドを発生させていたのでは?とも考えられますが、エヴァとして最後に開発された第13号機でさえ、ガンダムのファンネルのような外部装置を使わないとATフィールドを展開できなかったことから(Qセントラルドグマでの戦闘時)、これも考えにくいと思います。

 また、初号機がアダムスのオリジナルの1体ではないとするもう1つの根拠として、機体の腹部装甲パーツの数が3本であることが挙げられます。

 エヴァには、腹部装甲パーツの数が、オリジナルを素体とした機体の場合は3本、コピーを素体とした機体の場合は2本であるという法則があります。

 初号機の腹部装甲パーツの数は2本ですので、コピーを素体とした機体であると考えられます。

 機体の腹部装甲パーツの数の考察はこちら

アダムスのコピー(クローン)説

 初号機がアダムスのコピーであるとする説です。

 アダムスのコピーを素体にした機体は、リリス由来の着脱交換式コアユニットを使用することで、ATフィールドを発生させることができます。

 アダムス系機体とATフィールドの関係の考察はこちら

 また、初号機の素体がアダムスのコピーであるとすれば、腹部装甲パーツが2本であることとも矛盾しません。

 したがって、この説を完全に否定することはできません。

 もっとも、私は、次に述べるリリスのコピー説の方が可能性が高いと考えています。

リリスのコピー(クローン)説:自説

 旧劇場版と同じく、初号機をリリスのコピーと考える説です。私は、この説が正しいと考えます。

アヤナミ顔の示唆

 序において、初号機が暴走によって第4の使徒を倒した後、綾波レイの不気味な顔が迫ってきて碇シンジがハッと目覚めるシーンがありました。

 同シーンの画コンテ(405)では、このレイの顔が迫ってくる直前に、暴走した初号機の仮面が落ちるシーンが描かれていました。

 つまり、初号機の顔とレイの顔に何らかの繋がりがあることが示唆されていたと考えます。

 レイはユイのコピーです。

 白レイの考察はこちら

 そして、私は、ユイとリリスは同質の存在だと考えていますので、レイとリリスの顔も同じ(アヤナミ顔)であるということになり、レイの顔との繋がりが示唆される初号機は、リリスと関連がある機体なのだと言うことができます。

 ユイ=神=リリスの考察はこちら

唯一のリリス由来であることとその理由

 上記のとおり、初号機はリリスのコピーであると考えられますが、全エヴァにおいて、リリス由来の機体は初号機だけであると思われます。

 理由は、アダムス由来の機体と異なり、そのエネルギーが強すぎるため、ゼーレのシナリオにとって予期せぬ事故が生じやすく不都合だからです。

 セカンドインパクトは、アダムス4体が光の翼を発して起こされたのに対し、ニアサードインパクトは、初号機単体で光の翼を発して起こしました。

 つまり、リリスのコピーである初号機は、少なくともアダムス4体分の出力を持っていたことになります。この点の詳細は、別途考察しています。

 アダムスとリリスの関係の考察はこちら

 リリスのオリジナルとの契約(リリスとの契約)によってサードインパクトを起こそうとしていたゼーレにとって、リリスの代わりになり得るコピーが多数いる状況は好ましくなかったはずです(実際、初号機によってゼーレのシナリオにないニアサードインパクトを起こされてしまった。)。

 リリスとの契約の考察はこちら

 そのため、リリスのコピーは、オリジナルのバックアップとして初号機1体がいれば十分であり、かつ、予期せぬ事故を避けるために2体以上は不要だったと考えます。

 初号機が唯一のリリス由来であることは、破の、宇宙から落下攻撃する第8使徒戦において、赤木リツコが、葛城ミサトに対し、「マギの検証でもしくじる確率は99%強。たとえ成功してもエヴァ3体を喪失」「リリスと初号機の保護を最優先とすべきです」と言っていたことからも伺えます。

 当該セリフは、オリジナルと唯一のコピーを同時に失うことは絶対に避けたかったことの表れであると考えられます。

残された疑問

 なお、初号機が唯一のリリスのコピーであるとした場合、なぜ本来アダムスの器がなるべきAAAヴンダーの主機になれたのか、なぜアダムスの生き残りである第13号機と見た目がそっくりなのかについての疑問が残りますが、これらについては別途考察しています。

 初号機がヴンダーの主機になれた理由の考察はこちら

 初号機と第13号機の見た目が似ている理由の考察はこちら

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