アダムスの器の意味とは NHGネルフ戦艦との関係は

 今回は、エヴァンゲリオン新劇場版における、アダムスの器の意味、AAAヴンダーなどNHG艦(ネルフ戦艦)との関係について考察します。

 はじめに、今回の説明の便宜のために図を示します。

アダムスの器は計4体:マーク9~12

 シンエヴァの、新ネルフ本部が旧南極セカンドインパクト爆心地に向かうシーンにおいて、冬月コウゾウは、「アダムスの器は全て揃った。第13号機の再起動ももはや時間の問題だ」と言いました。

 また、シンエヴァの、真希波マリが2番艦NHGエアレーズング内で冬月と会話した後、マーク9、10、11、12と会敵したシーンにおいては、「アダムスの器たるエヴァオップファータイプが勢ぞろい。さすが冬月先生。手際がいいにゃ」と言いました。

 以上によれば、「アダムスの器」とは、エヴァマーク9~12の4体を指すことがわかります。

アダムスの器とは:魂が抜けたコア

 まず、「器」とは何を意味しているのでしょうか。

 エヴァンゲリオンシリーズにおいて、他に「器」という単語が使われたシーンがあります。

 コミック第10巻、ダミーシステムプラントで赤木リツコが綾波レイのクローン体を全て破壊したシーンです。

 リツコ「たった一つの魂を守り続けるためのただの器。だから壊すの。もう二度とが取り替えられないように」

コミック第10巻

 このシーンにおける「器」は、魂の器、つまり魂と切り離して見た場合の肉体(ボディ)のことを指していると思われます。

 アダムスの「器」も同じような意味で使用されていると考えられます。ただし、「アダムスの器」の場合は、ボディでなくコアを指していると考えます(冒頭の図参照)。

 アダムスの器が全身コアの機体であることがその根拠です。

 Qの、碇シンジがマーク9に連れ去られたシーンにおいて、マーク9は頭を吹き飛ばされても活動を停止せず、背中をジェットブースターのような形に変形させるなど、まるで液体のように変幻自在でした。

 また、Qの、(ニア)フォースインパクトの際の改2号機とマーク9との戦闘においては、マーク9は、体内に銃弾を打たれてもすぐに形状を戻して反撃しました。このとき、アスカは、「こいつ全身がコアか」と言っていました。

 全身がコアの機体であるということは、コアのみで造られているものと思われます。

 したがって、「アダムスの器」とは、本来の魂が抜けた状態のアダムスのコアのことであると考えます。

魂が抜けたのはセカンドインパクト時

 では、「アダムスの器」の本来の魂は、いつ抜けたのでしょうか。

 考えられる時点は1つだけ、セカンドインパクトです。

 序の破予告シーンでは4体の光の巨人について「ADAMS」と示され、破の加持リョウジのセカンドインパクト回想シーンでも4体の光の巨人が現れ、4つの十字架の光を出してインパクトを発生させました。

 十字架の光は、使徒を殲滅したときなどに生じるものです。

 つまり、セカンドインパクトの際にアダムス4体のコアから魂が抜け、「アダムスの器」になったのだと考えます。

 セカンドインパクトの考察はこちら

アダムスの魂:雌雄もない純粋な魂

 再度、冒頭の図を参照して下さい。

 新劇場版におけるエヴァの魂はパイロットに相当しますが、アダムスの場合、普通の魂では動かなくはないものの、本来の力を発揮しません。

 シンエヴァの、新ネルフ本部が旧南極セカンドインパクト爆心地に向かうシーンにおいて、冬月は、4人の綾波タイプクローンについて、次のように発言しました。

 冬月「フォースインパクトの要とされる黒き月の復活。そしてアダムスの器の贄となる雌雄もなく純粋な魂だけで造られたけがれなき生命体、アドヴァンスド綾波シリーズの再生

シン・エヴァンゲリオン劇場版

 つまり、純粋な魂であることがアダムスの真のパイロットになる条件です。

 冬月が「再生」と言っていることからすると、セカンドインパクト時にも4人の(初代)アドヴァンスド綾波シリーズが存在し、消滅したと思われます。

 アダムスは、純粋な魂であるパイロットが搭乗することで本来の力を発揮できますが(天使の輪・エンジェルハイロウの出現)、純粋な魂でないと全く動かないというわけではありません。

 アドヴァンスト綾波シリーズでないアヤナミレイ仮称(黒レイ・黒波)でも、マーク9のパイロットにはなれていました。ただし、「暫定パイロット」と言われていたように、真のパイロットでなかったことが分かります。

 黒レイの考察はこちら

 なお、私は、マーク6はアダムスの1体であると考察していますが、そのパイロットであった渚カヲルも純粋な魂を持っていたと考えられます。

 マーク6がアダムスの1体であることの考察はこちら

 シンジに対する好意は同性愛的にも見え、カヲルは「雌雄もない」存在だったのかもしれません。

アダムス4体は消滅したのか

 セカンドインパクトでアダムス4体の本来の魂(初代アドヴァンスト綾波シリーズ)が抜けたとしても、コアとボディまで消滅したとは限りません。

 私は、セカンドインパクトのトリガーとなった4体のアダムスは、魂が抜けただけで消滅しておらず、コアはそのままマーク9~12になったと考えています。

 そもそも、アダムスの、少なくともコア(アダムスの器)については不滅と思われるからです。

 Qの、シンジがマーク9に連れ去られたシーンにおいて、マーク9は頭を吹き飛ばされても活動を停止せず、後に頭が生え変わっています。

 Qの、セントラルドグマでの戦闘における8号機のマーク9への砲撃シーンでは、マリは、「アダムスの器さん。せめて足止めはさせてもらうにゃ」と言っています。マーク9が破壊できないことを示唆しています。

 Qの、(ニア)フォースインパクトの際の改2号機とマーク9の戦闘においては、マーク9は体内に銃弾を打たれてもすぐに形状を戻して反撃しました。

 シンエヴァの、新2号機が第13号機に強制停止信号プラグを打ち込もうとしたシーンでは、アスカは、「強制停止信号プラグをコアに打ち込めば、破壊はできずとも動くことはなくなる」と言っていました。第13号機はアダムスの器でなく「生き残り」ですが、やはり破壊できないことを示唆しています。

 Qの、(ニア)フォースインパクトの際、改2号機の自爆攻撃によってマーク9は消滅したと考えられることがありますが、私は、活動停止しただけで消滅まではしていないと考えています。

 改2号機の自爆攻撃の際には消滅を示す十字架の光と虹は1つしか出ていませんし(改2号機の分)、もしゼロベースでの新造だったとすればマーク9でなくマーク14(第13号機の次)になるはずだからです。

 シンエヴァのマーク9は、葛城ミサトに「パイロットごとマーク9を新造したのか」と言われていましたが、ゼロベースでの「新造」を意味するものではないと思います。

ボディはヴンダーなどNHG艦になった

 再度、冒頭の図を参照して下さい。

 ここまでをまとめると、セカンドインパクトによって、アダムス4体から純粋な魂(初代アドヴァンスト綾波シリーズ)が抜け、コアとボディだけが残り、4つのコアからは4体の「アダムスの器」、後のマーク9~12が建造されたということになります。

 そして、残った4つのボディからはAAAヴンダーなど4隻のNHG艦(ネルフ戦艦)が建造されたと考えます。

 NHG艦は、脊椎を有するなど明らかに生物をベースにしており、アダムスの器を主機として稼働することから、アダムスの器とNHG艦は、もともと1つの生物(アダムス)だったと推察されます(コアがアダムスの器、ボディがNHG艦)。

 このように考えれば、シンエヴァでマリがNHG艦3隻を沈めた際、NHG艦に対し、「もうリリンが君らを使うこともない。ゆっくり眠りなアダムス達」と言ったこととも矛盾しません。

 NHGネルフ戦艦の考察はこちら

 なお、アダムスの器でない初号機がヴンダーの主機になれた理由については、別途考察しています。

 初号機がヴンダーの主機になれたことの考察はこちら

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