マリはなぜ8号機をオーバーラッピング対応型に改造したのか

 今回は、エヴァンゲリオン新劇場版において、真希波・マリ・イラストリアスが、なぜエヴァ8号機をオーバーラッピング対応型に改造させたのか、なぜ8+9+10+11+12号機にする必要があったのか、その目的・理由について考察します。

天使の輪

ユーロネルフのパーツで改造

 オーバーラッピング機能は、シンエヴァ冒頭において、ユーロネルフ(パリ)での物資補給で得たパーツを使い、8号機に搭載されました。

 このことは、物資補給の際の、マリやヴィレクルーの次のセリフから分かります。

 青葉シゲル「総員補給準備。エヴァの予備パーツ及び武器弾薬の回収を最優先」

 伊吹マヤ「2号機の新造に必要な部位は1つ残らずかき集めておいて」

 マリ「細工は流々。これでニコイチ型2号機の新造とオーバーラッピング対応型8号機への改造ができるにゃ。どこにいても必ず迎えに行くから。待ってなよワンコ君」

シン・エヴァンゲリオン劇場版

 ユーロネルフにオーバーラッピング対応改造のためのパーツがあったことから、オーバーラッピング機能はユーロネルフの技術のようにも思えますが、もともとは人外未知の科学力を持つゼーレの技術であったと思われます。

 ゼーレの人外未知の科学力の考察はこちら

オーバーラッピングの機能とは

 シンエヴァのフォース(アナザー)インパクトの後、マリが登場する8号機は、AAAヴンダーに取りついて制御を乗っ取っていたマーク9を攻撃し、捕食しました。

 その後、マリは、8号機に碇シンジを乗せ、ガフの扉からマイナス宇宙へ行ったゲンドウの第13号機を追いかけました。

 このとき、マリは、「オーバーラッピング対応型の改8とアダムスの器を取り込んだプラスフォーインワン状態のおかげでこの裏宇宙でも難なく進めてる。ありがたいことだにゃ」と言いました。

 以上から分かることは、オーバーラッピングとは、対象を捕食することで、その対象の能力を取り込むことができる機能のことを言うものと考えられます。

 8号機は、アダムスの器であるマーク9を捕食して取り込み、8+9号機となることで、裏宇宙(マイナス宇宙)を進むことができるようになったといえます。

 「アダムスの器」であるマーク9はアダムスのコアから建造されたと考察していますが、アダムスはもともとマイナス宇宙にあるゴルゴダオブジェクトにいたわけですから、マーク9にはマイナス宇宙を進む能力があったと考えられます。

 ゲンドウ「ゴルゴダオブジェクトだ。人ではない何者かがアダムスと6本の槍とともに神の世界をここに残した」

シン・エヴァンゲリオン劇場版 ゴルゴダオブジェクト

 アダムスの器がアダムスのコアから建造されたことの考察はこちら

ウルトラマンタロウのオマージュ

 なお、オーバーラッピングは、ウルトラマンタロウにおける、ウルトラ6兄弟が合体するウルトラオーバーラッピング(ウルトラ6重合体、ウルトラ・シックス・イン・ワン)のオマージュだと言われています。

8+9+10+11+12号機にした理由

8+9号機では不十分だった

 上記のとおり、8号機は、8+9号機になることで、マイナス宇宙を進む能力を得ました。

 しかし、それだけでは目的を果たせなかったようです。

 マイナス宇宙でシンジを送り出した後、マリは、「君がどこにいても必ず迎えに行く。だから絶対待ってなよシンジ君」と言い、再びガフの扉の外へ戻っています。(なお、ここから「ワンコ君」から「シンジ君」に呼び方が変わっており、シンジを1人前の大人の男として認めたのだと思われます。)

 そして、マリは、2番艦NHGエアーレーズング内で冬月コウゾウと会話し、冬月が「君の欲しいものは集めてある。後はよしなにしたまえ。イスカリオテのマリア君」と言って集めたマーク10、11、12の3機と会敵しました。

 マリは、「アダムスの器たるエヴァオップファータイプが勢ぞろい。さすが冬月先生。手際がいいにゃ。悪いけどオーバーラッピングのための糧になってもらうわ」と言って、8+9号機で3機を次々に捕食し、オーバーラッピングによって、8+9+10+11+12号機に進化させました。

 以上から分かることは、マリは、シンジを必ず迎えに行くと言ったものの、8+9号機では足りなかったため、一旦ガフの扉の外に戻り、8+9+10+11+12号機にする必要があったということです。

ゴルゴダオブジェクトに到達するため

 一方、8+9号機がガフの扉の外へ戻った後、初号機と第13号機は、神の世界であるゴルゴダオブジェクトに行きました。

 つまり、初号機と第13号機はゴルゴダオブジェクトに到達できましたが、8+9号機ではマイナス宇宙を進むことはできても、ゴルゴダオブジェクトにまでは到達できなかったのだと思われます。

 対して、8+9+10+11+12号機になった後は、シンエヴァラストでシンジを迎えに行くことができたことから、ゴルゴダオブジェクトに到達できたのだと考えられます。

 ゴルゴダオブジェクトの考察はこちら

初号機、第13号機と同等になった

 以上のとおり、8号機は、オーバーラッピングによって8+9+10+11+12号機になったことで、初号機と第13号機と同様に、ゴルゴダオブジェクトに到達する能力を得たものと思われます。

 では、オーバーラッピングなどすることなく、神の世界であるゴルゴダオブジェクトに到達できた初号機と13号機は、どのような存在なのでしょうか。

 この点を考える上での前提として、私は、次のように考察しています。

 1 アダムスとリリスのモチーフは共に熾天使であり、その内リリスは最強でありながら神に反逆して地上に堕ちた12枚の翼を持つ堕天使ルシファーがモチーフになっている。

 2 通常の熾天使(アダムス)は4体でインパクトを起こすが(セカンド、アナザー)、ルシファー(リリス=擬似シン化した初号機)は単体でインパクトを起こすことができる(ニアサード)。つまり、リリスは、アダムス4体分以上のエネルギーを持っている。

 3 第13号機は、ルシファーと双子の兄弟であるミカエルがモチーフになっている。そのため、初号機同様、単体でインパクトを起こすことができる(ニアフォース)。

 上記1、2の考察はこちら

 上記3の考察はこちら

 そうすると、オーバーラッピングによって8+9+10+11+12号機にした目的が見えてきます。

 つまり、初号機と第13号機はアダムス4体分以上の出力を持つ存在ですので、8号機がこれらと同等の存在になるためには、アダムス4体、すなわちマーク9、10、11、12を取り込む必要があったということです。

結論:マリの目的はシンジを迎えに行くこと

 以上によれば、マリが8号機をオーバーラッピング対応型に改造した目的は、そのセリフのとおり、「シンジがどこにいても迎えに行くこと」であったと考えます。

 上記のとおり、マリは、シンエヴァ冒頭のパリでオーバーラッピングに必要なパーツを入手した段階において、既に「どこにいても必ず迎えに行くから。待ってなよワンコ君」と言っていました。

 この時点では、さすがにゴルゴダオブジェクトまで行くことまでは想定していなかったかもしれませんが、少なくとも、ガフの扉の先にあるマイナス宇宙に行くことまでは予定していたと思われます。

 なぜなら、第13号機がマイナス宇宙に行った後、それを追うため8+9号機に乗ってシンジを迎えに来た際のマリは、当然予定していたかのように、「準備に手間取っちゃった。さあ行こうワンコ君」と言っていたからです。

動機・行動原理は碇ユイの遺言

 マリが危険を冒してでもシンジを必ず迎えに行こうとしていた動機は、ユイの遺言にあると思われます。

 ユイは、初号機コアにダイレクトエントリーする前、マリに対し、「シンジを助けて欲しい」と頼んでいたものと考えています。

 マリの正体の考察はこちら

 ユイの目的、マリへの遺言の考察はこちら

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