今回は、エヴァンゲリオン新劇場版における、「使徒もどき」エヴァマーク4シリーズ(Mark.04)の正体について考察します。
マーク4シリーズは全6種
マーク4シリーズには、異なる種類の機体がいくつか存在します。
シンエヴァラストでは全てのエヴァが消滅しましたが、このシーンでマーク4シリーズは次の6種類が消滅しました。
したがって、マーク4シリーズは、次の6種類で全部であるといえます。
1 コード4A:アンチATフィールド
Q冒頭、宇宙空間で初号機を奪還するヴィレの「US作戦」において、改2号機に対し攻撃を仕掛けてきた機体です。
2本のするどい爪のようなものを向けて突進し、ATフィールドを破る「アンチATフィールド」機能が搭載されていました。
2 コード4B:フィールド反射膜
同じく「US作戦」において、初号機の封印柩に潜んでいた機体です。
フィールド反射膜を展開し、第9使徒を封じ込めたアスカの左眼に干渉する光を発して攻撃しました。
最後は封印柩内で覚醒した初号機のビームによって殲滅されました。
3 コード4C:ネーメズィスシリーズ
「Nemesis」とは、天罰、宿敵、応報などの意味があります。
「US作戦」後、地上でのAAAヴンダーの補給・主機関連作業中、攻撃を仕掛けてきた機体です。
四方から光の柱を展開して包囲陣形をとり、飽和攻撃を仕掛けてきました。
「擬装コクーン」に潜伏していたネーメズィスシリーズのコアブロックは、ヴンダーから引きずり出され、その主砲から発射されたエネルギー貫通弾を受け殲滅されました。
擬装コクーンとは
ヴンダーから攻撃を受けるまで、ネーメズィスシリーズのコアブロックは、「擬装コクーン」内に隠れていました。
青葉シゲルが「目標コアブロックは捕捉不能。おそらく、擬装コクーン内に潜伏中と思われます」
エヴァンゲリオン新劇場版:Q
「コクーン」とは「繭」の意味です。「擬装コクーン」とは、機体を繭のように包み込む光学迷彩のようなシステムのことだと思われます。
劇中(シンエヴァ)では、他に44Bと4番艦NHGゲベートが使用していました。
4 44A(フォーツーエー):航空特化タイプ
シンエヴァ冒頭のパリにおいて、補給中のAAAヴンダーに対し、多数で飛来し攻撃を仕掛けてきた機体です。
大の字にしたエヴァを2体重ね合わせたような形状で、使徒のような仮面が2つ付いており、先端にはロンギヌスの槍の形状をした武器が装備されていました。
数は多いものの攻撃手段は突進のみで、8号機(β臨時戦闘形態)1機に全滅させられており、決して強いとは言えませんでした。
なお、赤木リツコは、44Aの群れに対し、「見事な単縦陣。自ら群体を構成するとは、もはや新たな生物ね」と言っていました。
5 44B(フォーツービー):電力供給特化タイプ
同じくシンエヴァ冒頭のパリにおいて、44Aをおとりにして、4444Cとともに「擬装コクーン」から現れた機体です。
エヴァの下半身のみを2つ組み合わせたような機体で、独自の攻撃能力はなく、4444Cの陽電子砲のエネルギーチャージに特化されていました。
6 4444C(フォーフォーシー):陽電子砲装備陸戦用
陽電子砲を装備する機体です。
リツコからは、44Bとともに、「エヴァの軍事転用を禁じたバチカン条約違反の代物。陽電子砲装備の陸戦用4444Cと、お付きの電力供給特化型44Bのダブル投入とは。冬月副指令に試されてるわね。私達」と言われていました。
4体のエヴァが陽電子砲に掴まっているような形状で、使徒のような仮面も4つ付いていました。
8号機(β臨時戦闘形態)によって、44Bとともにエッフェル塔で殲滅されました。
ヴィレは空白の14年間に既に会敵していた
ヴィレのクルーは、上記のマーク4シリーズの各名称を把握していました。
また、リツコは、コード4Cネーメジィスシリーズと会敵した際、「ここはいつも通り撤退を。為す術がないのよ。葛城艦長」と言っていました。
つまり、ヴィレは、マーク4シリーズに初めて遭遇したわけではなく、破とQの間の「空白の14年間」において、既に戦闘していたことが伺われます。
「使徒もどき」マーク4の正体
使徒もどきとは
シンエヴァで44Bが現れた際、マリは、「ほほう。使徒もどきがおとりを使うとは。しゃらくさい」と言っていました。
「もどき」とは、似せて作ったものを意味します。
つまり、マーク4シリーズは、本来使徒でないものから使徒に似せて作った機体ということが言えます。
実際、コード4系からは、劇中においても使徒を示す「パターン青」が検出されていました。
また、コード4B、コード4C、44A、4444Cの殲滅時には、使徒殲滅時と同じ十字架の光と虹が出現しました。
使徒は、序の第4使徒戦で、冬月コウゾウから「生命の実を食べた者達か」と言われていたように、生命の実(S2機関:無限のエネルギーを発生させる機関)を持った存在です。
そうすると、「使徒もどき」とは、使徒ではない(エヴァである)がS2機関を搭載した機体と言い換えることができそうです。
実際、マーク4シリーズは、いずれもアンビリカルケーブルが装着されておらず、外部から電力供給を受けなくても稼働できる機体群でした。
なお、マーク4シリーズが「使徒もどき」と言われたのに対して、マーク7シリーズは「エヴァもどき」と呼ばれていました。
擬似S2機関搭載:4号機との関係
ところで、破の、北米ネルフ第2支部で4号機の爆発事故が生じた際、リツコは、「エヴァ4号機は、稼働時間問題を解決する新型内蔵主機のテストベッドだったらしいわ」と言っていました。
また、破の画コンテ816で、冬月は、「擬似S2機関を仮設搭載した試作実験機だ。何が起こってもおかしくはない」と言うことになっていました。
この「擬似S2機関」の技術が、マーク4シリーズにも応用されていると考えられます。
4号機とマーク4シリーズが「4」で共通していることから、マーク4シリーズは、4号機の作り直し、あるいは4号機の技術が応用された機体であると思われます。
しかし、4号機は爆発消滅してしまった以上、その技術を応用することなどできなかったのではないかという疑問が残ります。
この点、同様のシーンであるテレビアニメ版17話のゲンドウのセリフがヒントになります。
ゲンドウは、「四号機と第2支部はいい。S2機関もサンプルは失ってもドイツにデータが残っている」と言っていました。
新劇場版においても、4号機が爆発消滅した後も擬似S2機関のデータは残っていたと考えることができます。
Qでコード4Bが登場した際、改2号機のディスプレイには「Pattern Analysis:Blood Type ≈ Blue」と表示されました。
「=」(イコール)でなく「≈」(ニアリー)になっていたのも、S2機関そのものでなく、「擬似S2機関」であることを表現していたと思われます。
ダミーシステム搭載:ゴルゴダベースとの関係
マーク4シリーズは、全て無人機でしたが、まるで意思を持ったようにヴィレの行動を妨害していました。
また、シンエヴァで登場した44Aは、リツコに「見事な単縦陣。自ら群体を構成するとは、もはや新たな生物ね」と言われてように、組織的な動きを見せていました。
パイロットなしに、どのような仕組みで動いていたのでしょうか。
考えられるのは、ゴルゴダベースで開発されていたダミーシステム(プラグ)です。
この点について、私は、マーク4シリーズは破とQの間の「空白の14年」に、ゲンドウと冬月がゴルゴダベースにおいて実用化させたと考察しています。
エヴァの肩パーツは「翼の骨」
コード4シリーズと44A(航空特化タイプ)には、エヴァの肩から上に向かって突き出ている「肩パーツ」が装着されていました。
なぜ、肩パーツが装着されていたのでしょうか。
肩パーツについてヒントになるのは、Qの第13号機覚醒シーンです。
同シーンの画コンテ1274では、「肩パーツが弾け飛び翼状の骨が生えてくる」と記載されていました。
つまり、エヴァの肩パーツは、エヴァの翼の骨だというのです。
翼であるということは、エヴァの飛行機能の源泉になるパーツであると考えることができます。
コード4シリーズと44A(航空特化タイプ)は、いずれも飛行していましたので、飛行能力を持たせるためにエヴァの肩パーツが装着されていたと考えられます。
ATフィールドはあるが弱い
マーク4シリーズの内、コード4Cネーメジィスシリーズ、44A、4444Cには、ATフィールドの発生が描写されていました。
ここから、マーク4シリーズは、ATフィールドの発生が可能であるということができます。
ただし、8号機(β臨時戦闘形態)からの実弾攻撃で簡単に破られるなど(44A)、その強度は低く、不完全なものでした。
これは、マーク4シリーズが上記のとおりダミーシステムで稼働していることに由来していると思われます。
つまり、ダミーでは、心の壁であるATフィールドを完全には作れないのだと考えます。