今回は、エヴァンゲリオンシリーズにおける、エヴァ零号機(ゼロ号機・0号機)の正体、コアの魂、新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版、コミック版)の綾波レイの設定等について考察します。

エヴァの試作機(プロトタイプ、原型)
零号機は、初号機よりも前に作られた、最初のエヴァであり、その後のエヴァの原形(試作機、プロトタイプ、ひな型)となった機体です。
この点は、新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版、コミック版)と新劇場版で共通です。
惣流アスカ「所詮零号機と初号機は、開発過程のプロトタイプとテストタイプ。訓練なしのあなたなんかに、いきなりシンクロするのがそのいい証拠よ。けどこの弐号機は違うわ。これこそ実戦用に作られた、世界初の本物のエヴァンゲリオンなのよ。制式タイプのね」
テレビアニメ版 第8話
式波アスカ「所詮零号機と初号機は開発過程のプロトタイプとテストタイプ。けどこの2号機は違う。これこそ実戦用に造られた、世界初の本物のエヴァンゲリオンなのよ。制式タイプのね」
エヴァンゲリオン新劇場版:破
新世紀版(旧作)
パイロット:2人目のレイ
新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版、コミック版)における零号機のパイロットは、「2人目のレイ」です。
テレビアニメ版第5話において、赤木リツコが、「2人目のレイ」について、「綾波レイ14歳。マルドゥックの報告書によって選ばれた最初の被験者、ファーストチルドレン。エヴァンゲリオン試作零号機専属操縦者」と言っていました。
新世紀版のレイは3人いる
新世紀版では、「綾波レイ」と呼ばれる存在が3人登場しました。
旧劇場版のパンフレットでは、「綾波レイ」について、次のように説明されています。
1 肉体はエヴァの中に取り残された碇ユイをサルベージしたもの。
2 ターミナルドグマには彼女のコピーが大量の用意されていた。そのため、たとえ死亡しても別のレイが代替される。
3 3人のレイはそれぞれ性格が異なっているが、これは環境によるもの。魂は同一である。そして、その魂はどうやらリリスのものであったようだ。
旧劇場版 パンフレット
レイの魂の設定の途中変更
しかし、上記の設定は、旧劇場版に至ってから変更されたものであって、もともとの設定は違っていたのではないかと思われます。
というのも、上記1については、旧劇場版制作前に発表された制作スタッフインタビュー本「スキゾ・エヴァンゲリオン」によれば、レイは、もともとはユイとアダムの遺伝子を半分ずつ受け継いでいる設定だったようです。しかし、旧劇場版の物語の進行上、レイがアダムの遺伝子を持っている必要がなくなったことから、「肉体はユイ」とだけに変更されたと考えます。
また、上記3については、テレビアニメ版で登場した3人のレイは、人格どころか能力まで全く異なっていたため(3人目のレイはエヴァに乗らず生身のままで強力なATフィールドを発生させた。)、性格の違いは環境によるもので、初めから魂は同一で全員リリスのものだったという説明には無理があると思われます。おそらく、テレビアニメ版制作時には、3人目のレイのみリリスの魂が宿ったという設定だったのですが(根拠は後述)、最初から皆リリスの魂だったことにしないと、1人目と2人目の存在意義が失われてしまうため、旧劇場版になってから設定を変更したのだと考えます。
このようなレイの設定変更を踏まえ、以下考察していきます。
1人目のレイ:幼い子供
「1人目のレイ」は、幼い子供の姿をしています。テレビアニメ版第21話において登場しました。
2010年、箱根にある国連直轄 人工進化研究所(ゲヒルン)の施設内に、碇ゲンドウが「1人目のレイ」を連れてきて、赤木ナオコ(赤木リツコの母親)に紹介します。ナオコは、「1人目のレイ」にユイの面影を感じます。
同年、ナオコがスーパーコンピューターのマギシステム(S.C.MAGI SYSTEM)を完成させます。リツコからねぎらいの言葉をもらい、別れたところで、道に迷った「1人目のレイ」がナオコのところへやってきます。
「1人目のレイ」が、ゲンドウと愛人関係にあったナオコに対し、「ばあさん」と呼ぶなどして挑発すると、「1人目のレイ」がユイに見えたナオコが激情し、「1人目のレイ」を殺害してしまいます。
我に返ったナオコは、その場で飛び降り自殺をしました。
なお、この後、人類補完委員会(ゼーレメンバーの一部で組織)によって、調査機関だったゲヒルンは解体され、新たに人類補完計画の遂行組織として、特務機関ネルフが結成されました。
2人目のレイ:零号機パイロット
「2人目のレイ」は、零号機パイロットとして活躍したレイです。
「1人目のレイ」のような攻撃的な人格は有しておらず、ゲンドウに恋心のような感情を持っていました。
テレビアニメ版第23話において、第16使徒アルミサエル戦で自爆しました。
この後、リツコは、「2人目のレイ」が乗っていたエントリープラグ内を見て、「このことは極秘とします。プラグは回収、関係部品は処分して」と言っていましたが、このセリフは、「2人目のレイ」の死亡が確認されたことを意味していたのだと思います(レイが死亡すると別のレイに代替することは一部の関係者にしか明らかにされていないため、死亡の事実を秘密にしたかった。)。
3人目のレイ:リリスの魂が宿る
「3人目のレイ」は、上記のとおり「2人目のレイ」が第16使徒アルミサエル戦で死亡した後、病院に現れました。
シンジ「うん。覚えてないの?」
レイ「いえ、知らないの。たぶん、私は3人目だと思うから」
テレビアニメ版 第23話
「3人目のレイ」には、リリスの魂が宿りました。
上記のとおり、旧劇場版のパンフレットでは、「1人目のレイ」から全員リリスの魂が宿っていたと説明されていますが、これは旧劇場版に至ってからつじつまを合わせるために設定変更したものであって、テレビアニメ版までの設定では、リリスの魂が宿っていたのは「3人目のレイ」のみだったと考えます。
なぜなら、テレビアニメ版第24話において、アダムの魂を持つ第17使徒の渚カヲル(タブリス)が、弐号機を引き連れてターミナルドグマへ降下していった際、シンジの初号機が追い付いたところで、「結界」と呼ばれる強力なATフィールドを発生させたところ、「3人目のレイ」がエヴァに乗らない生身のままで、これと同等のATフィールドを発生させ、「結界」を突破できたからです。
日向マコト「これまでにない強力なATフィールドです!」
青葉シゲル「光波、電磁波、粒子も遮断しています。何もモニターできません」
葛城ミサト「まさに結界か」
テレビアニメ版 第24話
青葉シゲル「ターミナルドグマの結界周辺に、先と同等のATフィールドが発生」
伊吹マヤ「結界の中へ侵入していきます」
テレビアニメ版 第24話
「3人目のレイ」がアダムの魂を持つカヲルの発した強力なATフィールドを突破できたのは、アダムと同等の存在、つまりリリスの魂を持っていたからであると思われます。
このような能力は、「1人目のレイ」や「2人目のレイ」にはなかったと言えます。もし、「2人目のレイ」がこのような強大な力を持っていたのであれば、それまでの使徒に苦戦することもなかったはずです。
そして、旧劇場版「まごころを、君に」では、「3人目のレイ」はターミナルドグマで磔(はりつけ)になっていたリリスの肉体と融合し、サードインパクトを発生させました。
素体は第1使徒アダムのコピー
新世紀版における零号機の素体は、第1使徒アダムのコピーです。
2003年、国連直轄 人工進化研究所(ゲヒルン)の地下施設(黒き月内)において、ゲンドウとナオコは、冬月コウゾウに零号機の原型を見せました(なお、このときの零号機は1つ目でなく、眼が5つありました。)。
冬月「これは…まさかあの巨人を?」
ナオコ「あの物体を我々ゲヒルンではアダムと呼んでいます。が、これは違います。オリジナルのものではありません」
冬月「では…」
ナオコ「そうです。アダムより人の造りしもの。エヴァです」
冬月「エヴァ…」
ゲンドウ「我々のアダム再生計画。通称E計画のひな型たる、エヴァ零号機だよ」
冬月「神のプロトタイプか」
ゲンドウ「冬月。俺と一緒に、人類の新たな歴史を創らないか」
テレビアニメ版 第21話
2回の暴走事故
新世紀版において、零号機は、2回暴走事故を起こしています。
1回目:零号機起動実験時
ツチノコのような第4使徒シャムシエル戦後にシンジが家出をしましたが、そこから22日前(シンジがネルフに来る前)、ネルフ本部第2実験場において、零号機の起動実験が行われていました(テレビアニメ版第5話)。
実験中、零号機は、突如暴走し、ゲンドウ、冬月、リツコのいる管制室を殴りつけました。
「2人目のレイ」のエントリープラグが強制排出され、地面にたたきつけられたことにより、「2人目のレイ」は負傷しました(第1話でシンジが初めて初号機に搭乗した際に負傷していた原因)。
暴走の原因については、「2人目のレイ」の精神が乱れたことと推定されていますが、これは零号機のコアの問題と関わっています(後述)。
ミサト「で、先の実験の事故原因はどうだったの?」
リツコ「いまだ不明。ただし、推定では操縦者の精神的不安定が、第1原因と考えられるわ」
ミサト「精神的に不安定?あのレイが?」
リツコ「ええ。彼女にしては信じられないくらい乱れたのよ」
ミサト「何があったの?」
リツコ「分からないわ。でも…まさか」
ミサト「何か、心当たりがあるの?」
リツコ「いえ、そんなはずはないわ」
テレビアニメ版 第5話
この暴走事故により、零号機は、ダイヤモンドのような第5使徒ラミエル戦で初出撃するまで凍結されることになりました。
2回目:第1回機体相互互換試験時
テレビアニメ版第14話において、ダミーシステム運用のため、零号機と初号機のパイロットが交換可能かをテストする試験が行われました。
「2人目のレイ」は、初号機に搭乗しても零号機とほぼ同じシンクロ率でした。
他方、シンジが零号機に搭乗すると、リツコから「やはり初号機ほどのシンクロ率はでないわね」「でもいい数値だわ」と言われていましたが、A10(エーテン)神経を接続したところで、シンジに違和感が生じ、次のセリフの後、零号機が暴走を開始しました。
シンジ「うっ、何だこれ?あっ…頭に入って…くる。直接…何か。綾波?綾波レイ?綾波レイだよな?この感じ。綾波…違うのか?」
テレビアニメ版 第14話
その後、零号機は、「2人目のレイ」、ミサト、リツコなどのいる管制室を殴りつけました。
伊吹「精神汚染が始まっています」
リツコ「まさか、このプラグ深度ではあり得ないわ」
伊吹「プラグではありません。エヴァからの浸食です!」
途中省略
リツコ「零号機がシンジ君を拒絶?」
途中省略
ミサト「まさか、レイを殺そうとしたの?零号機が…」
ミサト「この事件、先の暴走事故と関係があるの?あのレイのときと」
リツコ「今はまだ何も言えないわ。ただ、データをレイに戻して、早急に零号機との追試シンクロテストが必要ね」
ミサト「作戦課長として、可及的速やかにお願いするわ。仕事に支障が出ないうちにね」
リツコ「わかっているわ。葛城三佐」
リツコ「零号機が殴りたかったのは私ね。間違いなく」
テレビアニメ版 第14話
「2人目のレイ」が零号機と同じように初号機とシンクロできたことや上記の各セリフは、零号機のコアの問題に関わっています(後述)。
カラーリング:山吹色と青色
零号機は、もともと山吹色(黄色とオレンジの間)でしたが、テレビアニメ版第6話のヤシマ作戦で大破した後、カラーリングが青色に変更されました。
ブルーの零号機は、零号機改と呼ばれることもあります。
第16使徒戦で自爆消滅
零号機は、ひも型の第16使徒アルミサエル戦で、自爆し、消滅しました(テレビアニメ版第23話)。
コアには誰の魂が入っていたのか
新世紀版のエヴァのコアには魂が宿っており、パイロットがその魂とシンクロすることによって制御する仕組みになっていました。
初号機であればシンジの母親であるユイ、弐号機であればアスカの母親である惣流・キョウコ・ツェッペリンの魂が入れられていました。
パイロットの母親の魂を入れることで、パイロットとシンクロし易いようにされていました。
しかし、零号機のコアについては劇中で明らかにされておらず、またパイロットの「2人目のレイ」はクローンであって母親がいないため、誰の魂が入っているのかが大きな謎となっていました。
赤木ナオコの魂説
この説は、赤木ナオコ(赤木リツコの母親)が死亡した際、零号機のコアに魂が移植されたとするものです。
この説の主な根拠は、暴走の際、ゲンドウ、リツコ、「2人目のレイ」に殴りかかったこと、その後リツコが「零号機が殴りたかったのは私ね。間違いなく」と言ったことなどです。
ゲンドウ、リツコ、「2人目のレイ」に怒りの感情を抱いていてのは、ナオコだけであると説明します(リツコに対しては、自分と同じようにゲンドウを愛していることへの怒り)。
しかし、この説だと、2回目の暴走時において、零号機と初号機の「パーソナルパターン」が酷似していると説明されたことをクリアすることができません。初号機のコアにはユイがいるのであって、ナオコとの間に共通点を見いだせないからです。
リツコ「シンクロ率は、ほぼ零号機のときと変わらないわね」
伊吹「パーソナルパターンも酷似してますからね。零号機と初号機」
リツコ「だからこそシンクロ可能なのよ」
伊吹「誤差、プラスマイナス0.03。ハーモニクスは正常です」
リツコ「レイと初号機の互換性に問題点は検出されず」
テレビアニメ版 第14話
この問題をクリアするために、「パーソナルパターン」はエヴァがパイロットの特性をつかむことで後天的に生じるものであるため矛盾しないとの考察を見たことがありますが、そのような劇中描写はありません。
また、上記2回目の暴走の直前、「2人目のレイ」のシンクロ率が、零号機と初号機とでほぼ同じであったこと、初号機ほどではないにしてもシンジが高いシンクロ率を出せたことの説明もできません。
さらに、上記2回目の暴走時、シンジが零号機のエントリープラグ内で、「2人目のレイ」に似た感覚を得たことも説明できません。
碇ユイの魂の一部説
この説は、初号機のコアからユイをサルベージする際、取り出すことができた一部の魂を零号機に宿らせたとするものです。
この説であれば、上記「赤木ナオコの魂説」では説明が困難な、初号機と零号機の「パーソナルパターン」が酷似していること、「2人目のレイ」のシンクロ率が零号機と初号機とでほぼ同じであったこと、シンジがシンクロできたこと、シンジが零号機のエントリープラグ内で「2人目のレイ」に似た感覚を得たことのいずれも説明することができます。
しかし、この説にも問題があります。2回目の暴走時に零号機がシンジを拒絶したことを説明できません(ユイであればシンジを拒絶しないはず)。
また、初号機と零号機に同じユイの魂が入っているのだとすれば、ゲンドウが初号機と同じように零号機に対して執着しなかったことを説明することもできません。
リリスの魂の一部説
この説は、リリスの魂が、レイだけでなく、零号機のコアにも宿っていたとするものです。
新劇場版同様、新世紀版のユイがリリスと同質的な存在であったとすれば、上記「碇ユイの魂の一部説」と同様、「赤木ナオコの魂説」では説明できない問題をクリアすることができます。
新劇場版のユイとリリスが同質的な存在であることの考察はこちら
しかし、やはり、上記「碇ユイの魂の一部説」が説明できない問題をクリアすることができません。
また、アダムのコピーである零号機にリリスの魂が宿っていたとすれば、サードインパクトが起きかねませんし、サードインパクトが起きなくても最強のエヴァになっていたはずですが、零号機は決して強かったとは言えず、この説もないと思います。
そもそも魂がない説
変わった説として、そもそも零号機には魂がないとする説もあります。
この説は、ゲームソフト「新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ」に零号機のコアには魂がないとの記載があるというのを根拠とする様です。
しかし(私はこのゲームをやったことがありませんが)、そもそも公式設定なのかどうかも分かりませんし、ゲーム中、零号機のコアには魂がないことを明らかにした記載は出てこない(つまり、単なる噂だった。)と聞いたことがあります。
また、魂がないのであれば、そもそも暴走すること自体説明できませんし、上記各説が抱える問題点をほとんど解決することができません。
1人目の綾波レイの魂説:自説
この説は、「1人目のレイ」が死亡した際、零号機のコアに魂が移植されたとするものです。私は、この説が正しいと考えます。
この説は、旧劇場版パンフレットに記載された設定(「1人目のレイ」から「3人目のレイ」まで全てリリスの魂が入っている。)を前提にすると、成立しません。レイが死亡すると、魂は次のレイに移行するため、零号機のコアに移植し得ないからです。
しかし、上記のとおり、テレビアニメ版までは「3人のレイの魂はそれぞれ別物」という設定だったのを、旧劇場版に至ってから「3人のレイの魂は全てリリスのものだった」という設定に変更したと考えています。旧劇場版に至ってから設定を変更したことで、零号機のコアの魂を説明できる説が無くなってしまったわけです。
暴走時、ゲンドウ、リツコ、「2人目のレイ」に殴りかかったのは、「1人目のレイ」がもともと攻撃的な人格だった上に、ゲンドウには自分を生み出したこと、リツコには自分を殺した女の娘であること、「2人目のレイ」には自分の次に「レイ」になっていることへの怒りからくるものと考えます。
そして、「1人目のレイ」は、ユイのクローンですから、初号機と零号機の「パーソナルパターン」が酷似していること、「2人目のレイ」のシンクロ率が零号機と初号機とでほぼ同じであったこと、シンジがシンクロできたこと、シンジが零号機のエントリープラグ内で「2人目のレイ」に似た感覚を得たことのいずれについても、一応は説明することができます。
また、ユイそのものではないため、2回目の暴走時に零号機がシンジを拒絶したことについても矛盾は生じません。
なお、零号機の「零」は「レイ」とも発音しますが、レイとの関係の示唆だったのかもしれません。
新劇場版
パイロット:綾波レイ(白レイ)
新世紀版と同様、綾波レイ(白レイ、白波)がパイロットです。
新劇場版では、着脱交換式コアユニットを交換することによって、1つのエヴァを複数のパイロットが担当することができるようになっています。
初号機については、序の、シンジが初号機への搭乗を拒否したシーンにおいて、リツコが「初号機のコアユニットをL-00タイプに切り替えて再起動」と言っていました。
また、2号機については、実際にアスカと真希波マリが搭乗できていました。
これに対し、零号機は、おそらく着脱交換式コアユニットが採用されておらず、レイ以外は搭乗できないと思われます。
破の第7使徒戦後、ミサトは、アスカについて、「第2の少女。エヴァ2号機担当パイロットよ」と言っていたのに対し、序の中学校のプールのシーンの後、リツコが、レイについて、「綾波レイ14歳。マルドゥックの報告書によって選ばれた最初の適格者。第1の少女。すなわちエヴァンゲリオン試作零号機専属操縦者」と言っていたからです。
素体はアダムスのコピー
新劇場版における零号機の素体は、序の冒頭に登場した「白線の巨人跡」となったアダムスのコピーであると考察しています。
暴走事故と停止信号プラグ
新劇場版(序)においても、零号機が暴走した描写がありました。上記の新世紀版における1回目の暴走と同じような状況です。
時期としては、シンジが初号機に初めて乗ったときよりも前のことです(この事故が原因でレイは負傷していた。)。
この暴走事故により、零号機は、ダイヤモンドのような第6使徒戦まで凍結されていました。
なお、零号機は、凍結のためにエントリープラグへ十字架の物体が刺されていましたが、画コンテには、「十字型の停止信号プラグ打ち込まれたままの零号機」(序画コンテ528)と記載されていました。
シンエヴァのヤマト作戦でヴィレ(新2号機)が第13号機に打ち込もうとしていた「停止信号プラグ」は、この頃から存在していたことが分かります。
第10使徒に捕食される
新劇場版の零号機は、破で「最強の拒絶タイプ」である第10使徒に捕食され、取り込まれてしまいました。
このことについて、マリは、「零号機と融合してる。パイロットごと吸収してしまったんだ」と言っていました。
コアには綾波タイプ達の魂が
新劇場版では、基本的には「エヴァのコアには魂が宿っている」という設定が無くなっていますが、初号機以下、つまり初号機と零号機については、コアにダイレクトエントリーして制御する(つまりヒトの魂が宿っている。)という設定が存在していると思われます。
Qで冬月が、初号機のコアにユイがダイレクトエントリーしたことについて、「エヴァの極初期型制御システム」と言っていたからです。
冬月「エヴァの極初期型制御システムだ。ここでユイ君が発案したコアへのダイレクトエントリーを自らが被験者となり試みた。君も見ていたよ」
エヴァンゲリオン新劇場版:Q シンジと将棋を打つシーン
初号機の制御システムが「極初期型」なのであれば、初号機よりも前に建造された零号機も同じ制御システムが採用されていると考えられるわけです。
また、破の画コンテには、レイの存在がゲヒルンやネルフの存在に不可欠だったとするセリフがあり、レイの存在がエヴァ建造に不可欠だったことが示唆されています。
青葉「ゲヒルンやネルフの設立も艱難辛苦の末と聞いてます」
リツコ「レイの存在と、冬月教授の手腕、そして碇司令の信念がなかったら、この組織はなかったわ」
エヴァンゲリオン新劇場版:破 画コンテ657
では、新劇場版における零号機のコアには、誰の魂が宿っているのでしょうか。
私は、新世紀版と同様、白レイ以前の綾波タイプ達の魂が入っていると考えます。
破のラストにおいて、疑似シン化した初号機(シンジ)が第10使徒に取り込まれたレイを救出しようと、第10使徒のコアに手を突き出した際、中にいたレイが「いいの、碇君。私が消えても、代わりはいるもの」と言うと、コア表面に複数のレイの顔が浮かび上がりました。その後、初号機によって、第10使徒のコアから零号機のコアとレイが引き出されました。
この描写は、零号機のコア内に複数のレイの魂が宿っていたことを意味していると思われます。