月面タブハベースの白い巨人とマーク6の正体とは

 今回は、エヴァンゲリオン新劇場版における、月面の巨人とエヴァマーク6(Mark.06)の正体について考察します。

 マーク6は、月面タブハベースで謎の巨人を素体として建造され、渚カヲルが搭乗し、カシウスの槍によって初号機によるニアサードインパクトを止めるなど、重要な役割を担った機体ですが、その割に劇中での出番が少なく、謎の多い存在です。

月面タブハベース

月面タブハベース:ネルフ第7支部発掘用仮設基地

 まず、謎の白い巨人のいた月面のタブハベースは何の基地なのでしょうか。

 序のDVD特典ディスクによれば、「ネルフ第7支部発掘用仮設基地」とされています。

 「発掘」ということは、謎の白い巨人は月に埋まっていたということになります。

 新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版)では、アダムの卵である「白き月」は南極に落下したとされていましたが(ファーストインパクト)、新劇場版における「白き月」は「月そのもの」のことのようです。

 このことは、株式会社カラーの公式ツイッターで間接的に明かされています。

 ファーストインパクトの考察はこちら

 とすると、月面タブハベースは、「白き月」から謎の白い巨人を「発掘」する基地だったといえます。

謎の白い巨人はアダムスの1体

 結論から言うと、月面タブハベースにいた謎の白い巨人は、アダムスの1体であったと考えます。

 理由は、以下のとおりです。

理由1:白き月の中にいたこと

 新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版)と比較すると、新劇場版の設定では、アダムがアダムスに変わっていますが、リリスが「黒き月」にいたことは変わっていません。

 このことから、「黒き月」の対となる「白き月」にいた謎の白い巨人は、新世紀版のアダムに相当する存在、すなわちアダムスであると考えるのが自然です。

 なお、新劇場版にアダムがいないことが前提になっていますが、この点は別途考察しています。

 新劇場版にアダムはいないことの考察はこちら

理由2:真のエヴァンゲリオン

 謎の白い巨人から建造されたマーク6が、「真のエヴァンゲリオン」と言われていることです。

 破の、北米ネルフ第2支部でエヴァ4号機が消滅した後のゼーレと碇ゲンドウの会話シーンにおいて、ゼーレは、ゲンドウに対し、次のように述べていました。

 ゼーレ「我らの望む真のエヴァンゲリオン。その誕生とリリスの復活をもって契約のときとなる。それまでに必要な儀式は執り行わねばならん。人類補完計画のために」

エヴァンゲリオン新劇場版:破

 また、同シーンの後、ゲンドウと冬月コウゾウは、次のような会話をしていました。

 ゲンドウ「真のエヴァンゲリオン。その完成までの露払いが初号機を含む現機体の務めというわけだ」

 冬月「それがあのマーク6なのか。偽りの神ではなくついに本物の神を創ろうというわけか」

エヴァンゲリオン新劇場版:破

 なお、同シーンの画コンテ829では、冬月の発言は「神の偽物ではなくついに本物の神を創ろうというわけか」となっていました。

 つまり、偽りの神=神の偽物(コピー、クローン)でないのが「真のエヴァンゲリオン」ということになります。

 それまでのエヴァ(零号機、初号機、2号機、3号機、4号機、仮設5号機)は、神のコピーでしたが、マーク6は神のオリジナルから建造したということです。

 「神」の多義的意味の考察はこちら

 破の、ゲンドウと冬月がタブハベースに行ったシーンにおいて、ゲンドウが「マーク6の建造方式が他とは違う。その確認で十分だ」と言ったのはこのことを意味すると思われます。

 謎の白い巨人がリリスでないことは明らかであり、リリス以外にエヴァの素体となり得るオリジナルの神はアダムスしかいないため、ここから白い巨人がアダムスの1体であったことが推察できます。

理由3:ロンギヌスの槍の存在

 破でゲンドウと冬月が月面に行った際、タブハベースに槍(ロンギヌス?)があったことです。

 シンエヴァのゴルゴダオブジェクトにおいて、ゲンドウは、シンジに対し、次のように説明しました。

 ゲンドウ「ゴルゴダオブジェクトだ。人ではない何者かがアダムスと6本の槍とともに神の世界をここに残した。私の妻、お前の母もここにいた」

シン・エヴァンゲリオン劇場版

 この説明を自然に読めば、アダムスと6本の槍は1つのセットになっています。

 つまり、発掘現場に槍があったわけですから、そこから発掘されたのはアダムスであると導かれます。

 ゴルゴダオブジェクトの考察はこちら

 ロンギヌス・カシウスの槍の考察はこちら

理由4:S2機関と飛行能力

 マーク6には、S2機関(生命の実)と飛行能力が認められたことです。

 破のラストに登場したマーク6は、天使の輪(エンジェルハイロウ)を出現させ、月から単独で飛来して来ました。当然、アンビリカルケーブルも繋がっていませんでした。

 活動時間に限界がなく(S2機関搭載)、天使の輪によって飛行できることは、他のアダムス系機体(マーク9、第13号機等)と特徴が一致します。

理由5:ウルトラマンタロウ

 アダムスはウルトラマンのオマージュと言われていますが、マーク6がタロウに相当すると思われることです。

 破の、加持リョウジのセカンドインパクト回想シーンに出てくる4体の光の巨人(アダムス)は、カラータイマーの位置などから、左からゾフィー、マン、ジャック、セブンを表しているようです。

 また、シンエヴァの、AAAヴンダーがヤマト作戦のため旧南極セカンドインパクト爆心地跡に突入するシーンでは、4つの立った十字架と1つの斜めに傾いた十字架があり、傾いた十字架にはエースのマークが見えました。

 マン、ゾフィー、セブン、ジャック、エースまでをウルトラ5兄弟と呼ぶようですが、「ウルトラ兄弟」と言うと、さらにタロウを加えたウルトラ6兄弟のことを指すことの方が一般的のようです。

 このタロウにマーク6が相当すると思われるのです。

 マーク6の特徴は、バイザーの奥に光る眼と3つの角ですが、これらはタロウの特徴と一致します。

まとめ

 以上をまとめると、月面タブハベースの白い巨人はアダムスの1体であり、そのオリジナルを素体にそのままエヴァにしたのが「真のエヴァンゲリオン」マーク6であると考えます。

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