今回は、エヴァンゲリオン新劇場版における、機体の胴体腹部装甲パーツの本数(個数)の意味について考察します。
以下、エヴァの胴体部分における胸部装甲と腰部(骨盤)装甲との間(腹部)にある装甲のことを、「腹部装甲パーツ」と呼びます。
エヴァには、腹部装甲パーツが2本の機体と、3本の機体があります。
2本の機体
腹部装甲パーツが2本のエヴァは、次のとおりです。
零号機、初号機、2号機、3号機、4号機、仮設5号機、8号機
4号機は、劇中では描写されていません(破で北米ネルフ第2支部において爆発消滅)。しかし、プラモデルを見ると、白い機体で、腹部装甲パーツは2本であることが分かります。
仮設5号機は、腹部装甲パーツと胸部・腰部装甲との境目が分かりにくいのですが、フィギュアを見ると、2本だと思われます。
8号機は、その形態によって腹部装甲パーツが分かりにくくなるのですが、原形と思われるQ冒頭のUS作戦時に登場した「8号機α」だと、2本であることが分かります。
3本の機体
腹部装甲パーツが3本のエヴァは、次のとおりです。
マーク6、マーク9~12(アダムスの器)、第13号機
マーク7は、腹部装甲パーツと胸部・腰部装甲との境目がわかりません。
マーク9~12(アダムスの器・エヴァオップファータイプ)は、胸部装甲が小さい上に、胸部装甲と腹部装甲パーツ1段目(上段)のカラーリングが同じであり境目も分かりにくいのですが、フィギュアを見ると3本あることが分かります。
本数の違いの意味:アダムの肋骨
腹部装甲パーツの数が2本のエヴァと3本のエヴァとで、何が違うのでしょうか。
考えられることは、オリジナルを素体にして建造された機体が3本で、コピー(クローン)を素体にして建造された機体が2本だということです。
おそらく、エヴァンゲリオンシリーズの元ネタの1つである旧約聖書のイブ(エヴァ)の創造方法に由来しています。
イブ(エヴァ)は、アダムの妻として、神がアダムの「肋骨」から創造した女性です。つまり、アダムのコピーがイブ(エヴァ)という見方ができます。
腹部装甲パーツは、この「肋骨」を意味しているものと思われます。
3本の機体はアダム、すなわちオリジナルを、2本の機体はイブ、つまりコピーを示しているのではないでしょうか。
検証:オリジナルかコピー(クローン)か
マーク6が基準になる
劇中の描写から、オリジナルを素体にして建造されたと強く推認される機体は、マーク6です。
マーク6が建造された月面タブハベースは、序のDVD特典ディスクによれば、「ネルフ第7支部発掘用仮設基地」とされていました。
「発掘」ということは、マーク6の素体は月に埋まっていたことになりますので、オリジナルであると推認されます。コピーが埋まっていたとは考えにくいからです。
破の、北米ネルフ第2支部でエヴァ4号機が爆発消滅した後のシーンにおいて、碇ゲンドウと冬月コウゾウは、次のような会話をしていました。
ゲンドウ「真のエヴァンゲリオン。その完成までの露払いが初号機を含む現機体の務めというわけだ」
冬月「それがあのマーク6なのか。偽りの神ではなくついに本物の神を創ろうというわけか」
エヴァンゲリオン新劇場版:破
なお、同シーンの画コンテ829では、冬月の発言は、「神の偽物ではなくついに本物の神を創ろうというわけか」となっていました。
以上によれば、マーク6が、偽りの神=神の偽物(コピー)でない「真のエヴァンゲリオン」「本物の神」、すなわち、神のオリジナルから建造されたということが分かります。
上記のとおり、マーク6の腹部装甲パーツは、3本です。
他方、先ほどのシーンセリフからすると、マーク6より前に建造された「露払い」である零号機、初号機、2号機、3号機、4号機、仮設5号機は、「偽りの神」「神の偽物」、すなわち、神のコピーから建造されたということになります(露払いとは、貴人の先に立って道を開くこと。)。
これらの機体の腹部装甲パーツは、全て2本です。
第13号機は
その他、第13号機は、「アダムスの生き残り」と言われていることから、アダムスのオリジナルを素体としていると思われます。コピーを「生き残り」というのは不自然だからです。
第13号機の腹部装甲パーツは、3本です。
結論
以上によれば、腹部装甲パーツの数は、オリジナルを素体にして建造された機体が3本で、コピーを素体にして建造された機体が2本になっているものと考えられます。