今回は、エヴァンゲリオン新劇場版における、エヴァ2号機の解説と、その正体、モチーフ、元ネタについて考察します。
エヴァ2号機とは
正式名称は、汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン 正規実用型 2号機(先行量産機)です。
ユーロネルフが所有し、パスを持っていました。
新世紀版(テレビアニメ版、旧劇場版)では「弐号機」でしたが、新劇場版では「2号機」となり、頭部に黄色い角のパーツが追加され、カラーリングも若干変わりました。
初登場したのは、エヴァンゲリオン新劇場版:破における、時計のような第7使徒戦です。
相模湾沖の海上で、飛行中の空輸機からダイビングして出撃し、落下するまでのわずかな間に第7使徒を殲滅しました。
この際に操縦していたアスカ(ユーロ空軍エース 式波・アスカ・ラングレー大尉)は、「所詮零号機と初号機は開発過程のプロトタイプとテストタイプ。けどこの2号機は違う。これこそ実戦用に造られた、世界初の本物のエヴァンゲリオンなのよ。制式タイプのね」と言っていました。
2号機の素体:アダムスのコピー
2号機は、アダムスのコピーを素体として造られていると考えています。
パイロット:式波アスカ、真希波マリ
上記の第7使徒戦後、葛城ミサトは、アスカについて、「第2の少女。エヴァ2号機担当パイロットよ」と言っていました。
序で、赤木リツコが、白レイ(白波)について、「綾波レイ14歳。マルドゥックの報告書によって選ばれた最初の適格者。第1の少女。すなわちエヴァンゲリオン試作零号機専属操縦者」と言っていたことと異なります。
パイロットが「専属」でなく「担当」とされているのは、バックアップの操縦者がいることを意味しているものと思われます。
この点について、破の、2号機が凍結されるシーンにおいて、リツコは、「エヴァは実戦兵器よ。全てにバックアップを用意しているわ。操縦者も含めてね」と言っていました。
実際、真希波・マリ・イラストリアスも「最強の拒絶タイプ」第10使徒戦で2号機を操縦することができました。
つまり、マリがアスカのバックアップパイロットであったと思われます。
2号機α 臨時暫定仕様
正式名称は、汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン 正規実用型 2号機α 臨時暫定仕様です。
シンエヴァ特典映像3.0(-46h)の北上ミドリの回想シーンで登場しました。つまり、サードインパクト直後の2号機です。
破の「最強の拒絶タイプ」第10使徒戦で、右頭部と左腕を欠損した2号機を、ヴィレが何とか使える状態に応急処置したもので、改2号機に至るまでの暫定仕様です。
左腕は欠損したままで、包帯を巻いたような見た目です。
改2号機(ツーダッシュ)
正式名称は、汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン 正規実用型 改2号機です。
上記の2号機α 臨時暫定仕様をヴィレがさらに修復し、改造した機体です。
β(ベータ)とγ(ガンマ)のカスタム仕様があります。
Q冒頭「US作戦」においてはβ、セントラルドグマでの戦闘においてはγでした。
新2号機α
正式名称は、エヴァンゲリオン 正規実用型 新2号機α(アルファ)です。
Qラストの、ネルフ本部襲撃作戦におけるマーク9への自爆攻撃で大破した改2号機を、ヴィレがユーロネルフ(パリ)から回収した資材を使って改修・新造した機体です。
8号機からの供給を受け、多種多様な武器を使いこなしました。
JAジェットアローン機体流用ニコイチ型
シンエヴァ冒頭パリにおいて、ヴィレが2号機の新造パーツを回収した際、マリは、「ニコイチ型2号機の新造」ができると言っていました。
「ニコイチ」とは、2つを合わせて1つを造ることを意味すると思われます。
1つは改2号機の残存部位であるとして、もう1つはパリで補給した新造パーツを指していると考えられます。
この新造パーツの入ったケースには、「JA-02」と記載されていました。
「JA-02」とは、テレビアニメ版第7話に登場した、エヴァに代わる人型ロボットとして日本重化学工業共同体の時田シロウが開発した「ジェットアローン」の2号機を意味すると言われています。
改2号機の残存部位とジェットアローンとを組み合わせて(ニコイチ)新造したのが、新2号機ということになります。
裏コード ザ・ビースト 獣化第2形態
エヴァンゲリオン新劇場版:破の、「最強の拒絶タイプ」第10使徒戦において、2号機で出撃したマリは、苦戦を強いられ、「このままじゃ勝てないな。よし、試してみっか。ヒトを捨てたエヴァの力、見せてもらうわ。モード反転、裏コード、ザ・ビースト」と言い、2号機を獣化第2形態(第1種)に切り替えました。なお、同シーンの画コンテ1509では、「やっぱりヒトを捨てないと、こいつには勝てないにゃ」というセリフがありました。
裏コードの発動により、2号機の肩と背中から次々と制御棒(画コンテの表現)が突き出ました。これについて、伊吹マヤは、「リミッター外されていきます。全て規格外です!」と言いました。
また、マヤが「プラグ内モニター不能!ですが…」と言うと、リツコが「おそらくプラグ深度はマイナス値。汚染区域突入もいとわないとはね」と言っていました。
マリは、「身を捨ててこそ…浮かぶ瀬も…あれ!」(自らの命を犠牲にする覚悟があってこそ窮地を脱し物事を達成することができるの意)と言って突撃しましたが、第10使徒に返り討ちにあい、右頭部と左腕を欠損してしまいました。
これについて、リツコは、「エヴァの獣化第2形態。ヒトを捨て、闘争に特化させても勝てない。これが私達の限界なのね」と言いました。
以上をまとめると、「裏コード ザ・ビースト」とは、ヒトを捨て2号機を戦闘に特化させる「獣化第2形態」(ビーストモード)に変化させるためのコードであり、発動させるとパイロットのプラグ深度はマイナス値(エントリープラグとエヴァのコアまでの距離が接近しすぎて汚染区域に入る。)となり、パイロットのリスクを伴うものであると考えることができます。
2号機とマリの目の色が同じ緑色に輝いていたことから、両者のシンクロ率が大幅にアップしていたと思われます。
2号機のモチーフは黙示録の獣
上記画像 黙示録の獣 – Wikipedia
上記の「裏コード ザ・ビースト」から、2号機のモチーフ・元ネタは、新約聖書の「ヨハネの黙示録」に記される「黙示録の獣」であると考えられます。
「黙示録の獣」とは、終末の時に海から現れる獣のことであり、英語ではThe Beastと表記されます。
10本の角と7つの頭、10の王冠があり、その姿は豹に似ており、足は熊、口は獅子のような姿であるとされています。
2号機の初登場シーン(破:第7使徒戦)は海上であり、獣化形態はネコ科の獣のような姿(特にコード777発動時)になったのは、「黙示録の獣」を意識したものであると思われます。
獣の数字666
「黙示録の獣」は、同じく「ヨハネの黙示録」に記されている「獣の数字」、悪魔の数字である666を持っていると言われています。
マリが「裏コード ザ・ビースト」を発動させた際、画コンテ1511では、エントリープラグ内に「666の数字が並ぶ?」と記載されていました。
明らかに「獣の数字」を意識した演出が想定されていたことが分かります。
コード777(トリプルセブン)獣化第4形態
Qラストの、改2号機とアダムスの器(マーク9)との戦闘シーンにおいて、マーク9に対抗するため、アスカは、「モードチェンジ。コードトリプルセブン」と言い、改2号機を獣化第4形態(第2種)に切り替えました。
上記の獣化第2形態(第1種)と比較し、大きな牙と尾が生え、4足歩行に切り替わり、よりネコ科の動物に近い形状に変わりました。
マーク9のビームを噛み砕いたり、素手で弾き飛ばすなど、大幅に戦闘能力が向上しました。
しかし、最後は、マーク9に自爆攻撃を仕掛け、戦闘不能になりました。
獣化第4形態は、獣化第2形態の発展形態であると思われます。
コード777のネーミングは、裏コードザ・ビースト(666)の発展型であることを示していると同時に、エヴァンゲリオンのパチスロ機を意識した商用目的も若干あったのかもしれません。
裏コード999(スリーナイン)
シンエヴァの、新2号機が第13号機に停止信号プラグを打ち込もうとするシーンにおいて、新2号機が、第13号機に怯え、自らのATフィールドでプラグ挿入を妨害してしまった際、アスカは、「最後の手段ね。ごめん新2。また無理をさせるわ。全リミッターを解除。裏コードスリーナイン」と言って、第9使徒が封印されていた左眼から使徒封印柱を抜き取り、自らを使徒化させました。
そして、アスカが「エンジェルブラッド全量注入!」と言うと、新2号機に注射器が刺さり、全身(と言ってもほぼ機械化されていたので上半身のみ)にエンジェルブラッドがめぐりました。
「エンジェルブラッド」とは、天使の血液という意味になりますが、エヴァの世界におけるエンジェル(angel)は使徒を意味しますので、使徒の血液を注入したことになります。
なお、この血液は、青色だったことから、同じ青色の第9使徒のものであったと思われます。
エンジェルブラッドの注入により、初号機の擬似シン化時のように、新2号機の失われた左腕部分が光の腕に変わり、天使の輪(エンジェルハイロウ)が出現しました。また、目は8対に、腕は4本に増えました。
しかし、最後は、第13号機によって返り討ちにされてしまいました。
裏コード999は、新2号機を使徒化させるコードであると思われます。アスカが「最後の手段」と言っていたことから、一度発動すると、もはやヒトに戻れなくなる極めてリスクの高い機能だったと言えます。
上記のとおり、裏コード ザ・ビーストは獣(悪魔)の数字666でしたので、これを反転させた999は、その逆である天使(使徒)を表しているものと思われます。